2019年06月

2019年6月29日 弁理士試験 代々木塾 令和元年改正法について

特許法では、査証の制度が導入されました。
特105条の2から特105条の2の10までが新設されました。

特許法、実用新案法、意匠法、商標法では、損害額の算定の規定が改正されました。
納得感のある損害額を請求できるようにしました。

意匠法では、意匠法の保護対象に、建築物や画像が含まれることとなりました。
関連意匠制度が利用しやすい制度に大きく改正されました。

商標法では、商4条2項に係る商標権であっても、他人に通常使用権の許諾ができることとなりました。

令和元年改正法の施行期日は、公布の日から1年以内ですので、来年の弁理士試験の範囲に含まれることが確実です。

2019年6月13日 弁理士試験 代々木塾 意8条 趣旨

【問題】意匠法8条
 意匠法第8条は「同時に使用される二以上の物品であつて経済産業省令で定めるもの(以下「組物」という。)を構成する物品に係る意匠は、組物全体として統一があるときは、一意匠として出願をし、意匠登録を受けることができる。」と規定しているが、この規定における平成10年改正における改正点を指摘し、その改正の趣旨について説明せよ。

【解答】
 平成10年改正において、「慣習上組物として販売され」を削除し、「二種以上の物品」を「二以上の物品」と改正し、改正前8条2項を削除した。
 製品開発の多様化、高度化に伴い、特定目的のために供される複数の物品群について、それらの自由な組合せを可能としつつ、全体的に統一感を持たせるように個々の物品のデザインを行ういわゆる「システムデザイン」や「セットもののデザイン」がデザイン創作活動の実態としてよく見られるようになってきていたことを踏まえ、産業活動の実態に合わせて保護対象を機動的に見直すことができるようにするため、改正前の「慣習上組物として販売され」を削除し、同種物品によるシステムデザインを保護するために、「二種以上の物品」を「二以上の物品」と改正した。
 改正前2項は、組物を構成する個々の物品の意匠がそれ自体意匠登録を受けることができるものであることが必要である旨を定めていたが、これを削除したのは、「組物の意匠」が、権利行使の際には、「組物の意匠」全体として権利行使できるのみで、当該組物を構成する個々の物品ごとには行使をすることができないものとなっていることから、「組物の意匠」の登録要件とその権利行使の態様との不整合を解消するためである。

2019年6月11日 弁理士試験 代々木塾 意5条3号 趣旨

【問題】意匠法5条3号
 平成10年改正において、意匠法第5条第3号において「物品の機能を確保するために不可欠な形状のみからなる意匠」と規定することとした趣旨について説明せよ。

【解答】
 平成10年改正により部分意匠制度が導入されたため(2条1項かっこ書)、物品の機能を確保するために不可欠な形状のみからなる意匠に意匠権が設定されると、第三者がその機能を有する物品を実施しようとする場合、この意匠権の侵害になってしまうため、経済活動を不当に制限し、かえって産業発展を阻害する要因になりかねない。
 諸外国等においても、TRIPS25条の規定において、物品の機能を確保するために不可欠な形状を保護対象から除外することは加盟国の任意で定めてよいことになっており、実際に多数の国等が機能にのみ基づく意匠を保護対象から除外している。
 そこで、平成10年改正において、物品の機能を確保するために不可欠な形状のみからなる意匠については、意匠登録を受けることができないこととした(5条3号)。


2019年6月9日 弁理士試験 代々木塾 意3条1項各号 趣旨

【問題】意匠法3条1項各号
 意匠法第3条第1項各号において「公然実施をされた意匠」について規定していない趣旨について説明せよ。

【解答】
 意匠は物品の美的外観であるため(2条1項)、意匠が公然実施されると、すなわち、意匠に係る物品が販売されると、その意匠は公然知られた意匠に該当することとなる(3条1項1号)。新規性のない意匠として、公然知られた意匠のほかに、公然実施をされた意匠を規定する必要がない。
 そこで、3条1項各号において、公然実施をされた意匠については、規定しないこととした。


2019年6月7日 弁理士試験 代々木塾 意3条1項柱書 趣旨

【問題】意匠法3条1項柱書
 意匠法第3条第1項柱書において「意匠の創作」と規定することとした趣旨について説明せよ。

【解答】
 3条1項柱書は「工業上利用することができる意匠の創作をした者は、次に掲げる意匠を除き、その意匠について意匠登録を受けることができる。」と規定している。意匠とは、物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるものをいい(2条1項)、意匠の定義においては創作の概念が含まれていない。
 しかし、意匠法は、意匠の創作を奨励する法律であるため(1条)、創作とはいえない意匠を保護することは、法目的(1条)に合致しない。
 そこで、3条1項柱書において「意匠の創作」と規定することにより、意匠法は意匠の創作を保護することを明記した。

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