平成24年度 短答試験

〔26〕商標法第2条に規定する商標及び標章の使用に関し、次の(イ)~(ホ)のうち、誤っているものは、いくつあるか。
 ただし、マドリッド協定の議定書に基づく特例は考慮しないものとする。

(イ)「色彩」は商標の構成要素ではあるが、文字、図形又は記号と異なり独立して構成要素となることはできない。

(ロ)「商標」は、必ず視覚に訴えるものでなければならない。したがって、音声、におい、味は、商標法上の商標ではない。

(ハ)標章のみを表示した店頭の看板であっても、その店舗の状況等からして特定の商品、役務を広告していることが明らかであると判断される場合には、商標の使用となることがある。

(ニ)クリーニング業者がクリーニング後の被服類を自己の標章が付されたビニール包装に入れて顧客に返却する行為は、商標の使用に該当する。

(ホ)レストランが料理を提供する際、飲食提供用の食器類に標章を付する行為は商標の使用となるが、標章を付したコーヒーサイフォンを客が飲食する店内カウンターの上に置く行為は、商標の使用とはならない。

1 1つ   2 2つ   3 3つ   4 4つ   5 5つ


〔正解〕 3(平成26年改正により解答変更)

(イ)誤り(平成26年改正により解答変更)
 商2条1項は「この法律で「商標」とは、人の知覚によつて認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの(以下「標章」という。)であつて、次に掲げるものをいう。
一 業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの
二 業として役務を提供し、又は証明する者がその役務について使用をするもの(前号に掲げるものを除く。)」と規定している。
 平成26年改正により、色彩のみからなる商標も保護されることとなった。
 本問において「「色彩」は商標の構成要素ではあるが、文字、図形又は記号と異なり独立して構成要素となることはできない。」とあるのは、「独立して構成要素となることはできない」とある点で、誤りである。
 よって、本問は、誤りである。

(ロ)誤り(平成26年改正により解答変更)
 商2条1項は「この法律で「商標」とは、人の知覚によつて認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの(以下「標章」という。)であつて、次に掲げるものをいう。
一 業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの
二 業として役務を提供し、又は証明する者がその役務について使用をするもの(前号に掲げるものを除く。)」と規定している。
 平成26年改正により、「知覚によって認識することができるもの」であれば、商標として保護されることとなった。
 例えば、音は視覚によっては認識できないが、商標として保護される。
 本問において「「商標」は、必ず視覚に訴えるものでなければならない。したがって、音声、におい、味は、商標法上の商標ではない。」とあるのは、「「商標」は、必ず視覚に訴えるものでなければならない」とある点で、誤りである。
 よって、本問は、誤りである。

(ハ)正しい
 商2条3項8号は「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」と規定している。
 本問において「標章のみを表示した店頭の看板であっても、その店舗の状況等からして特定の商品、役務を広告していることが明らかであると判断される場合には、商標の使用となることがある。」とあるのは、正しい。
 よって、本問は、正しい。

(ニ)正しい
 商2条3項6号は「役務の提供に当たりその提供を受ける者の当該役務の提供に係る物に標章を付する行為」と規定している。
 本問において「クリーニング業者がクリーニング後の被服類を自己の標章が付されたビニール包装に入れて顧客に返却する行為は、商標の使用に該当する。」とあるのは、正しい。
 よって、本問は、正しい。

(ホ)誤り
 商2条3項3号は「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物(譲渡し、又は貸し渡す物を含む。以下同じ。)に標章を付する行為」と規定している。
 商2条3項5号は「役務の提供の用に供する物(役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物を含む。以下同じ。)に標章を付したものを役務の提供のために展示する行為」と規定している。
 レストランが料理を提供する際、飲食提供用の食器類に標章を付する行為は、商2条3項3号の商標の使用となる。
 標章を付したコーヒーサイフォンを客が飲食する店内カウンターの上に置く行為は、商2条3項5号の商標の使用となる。
 本問において「レストランが料理を提供する際、飲食提供用の食器類に標章を付する行為は商標の使用となるが、標章を付したコーヒーサイフォンを客が飲食する店内カウンターの上に置く行為は、商標の使用とはならない。」とあるのは、「標章を付したコーヒーサイフォンを客が飲食する店内カウンターの上に置く行為は、商標の使用とはならない」とある点で、誤りである。
 よって、本問は、誤りである。